20110327

ウエディングドレス選びのポイント マリアベール

Q.マリアベールを着けたいと思っています。ポイントを教えてください
A.これは奥が深い話になるので、まずは浅瀬のところから説明します。
新婦の顔の印象の違い
マリアベールは頭を覆い隠すため、ティアラやクラウン、ボンネなどのヘッドドレス・アクセサリーを同時に着けるのが困難になります。このため、普通のフェイスベールと比較すると、「ベールアップ出来ない」、「ヘッドアクセサリーがないため控えめな印象」になります。しかし、普通のベールと比較すると、顔の側面をレースが覆うように流れるので、顔の印象がずいぶんと変り、繊細で、従順な、聖女的雰囲気を演出することができます。


ドレス選びのポイント
マリアベールは、繊細で、聖女的雰囲気を大切にすることが本来の意味としても大切です。このため、ドレスも、スパンコールやクリスタルがギラギラ・ゴージャスに入っているドレスはオススメできません。マリアベール本来の意味からも逸れてしまうし、マリアベールそのものが持つ繊細さも失われてしまいます。また、スカートのフォルム(形と大きさ)も大切です。写真のように、スカートラインは細身のAラインでシンプルなデザインの方が、マリアベールの繊細さは引き立ちます。ロングベールの場合は、プリンセスラインなどスカートボリュームが大きいものは、スカートにベールがまとわりつき、ベールが張り付いたドレスになることがありますので注意が必要です。
ドレス解説
このドレスは、ウエディングドレス※1と、ベールの「存在や意味を大切にすることをポイント」にデザインしました。純白のドレスは本来、入信した処女の衣装で、その他の方は色が入ったものを着用していました。この、純白のドレスが本来意味する、純真さ、清純さ、従順さ、を大切にして、このドレスのデザインは控えめに、シンプルにしてあります。
だからこそ、ドレスのベースには良質なシルクサテン生地を使い、トップスとベールのレースも、日本では入手できなくなった良質なフランスやイタリア製を使っています。シンプルなドレスですが、高級で丁寧に仕立ててあります。これにより、新婦そのものを聖女のように、清楚に、従順に表現したいと思ってデザインしました。
シンプルなドレスですが、簡素ではなく、高級素材をさりげなく使った1点モノのオートクチュールで仕立ててあります。清楚で、可憐、従順な聖女のような新婦にオススメのドレスです。

マリアベールとは
「マリア様被っていたベールだから」とよく解説されていますが、歴史的・宗教的に考察するとこれはちょっと違います。「マリア様<>かぶっていた」の方が良いでしょう。(キリスト宗教学を学んだ経験からこだわるのかもしれませんが・・予断だと思ってください)。
カトリックでは、入信のときに額に水をかけ、その後、受洗者にベ-ルを被せます。このとき、白の衣装を着用していました。この、白の衣装とベールが、ウエディング ドレスとマリアベールの原型になっています。ベールの歴史は古く、イスラム教のヒジャブ(イスラム圏の女性が頭を覆っている布あるでしょ、あれ)も、歴史的に通じるものです。キリスト教のベールは、聖書のコリント信徒への手紙の記述から女性は着用すべきであるとしています。
また、「ベールは魔よけのため」と聞きますが、本来の意味とされていることは別にあります。さらに、話はキリスト教の歴史的な背景に進みますが、話は長くなるので知りたい方は会ったときにお話ししますね。

※1 「ウエディング ドレス」は、日本的な言い方で、欧米では、「ウエディングガウン/WeddingGown」と呼びますが、ここでは解りやすいように日本的な言い方にしています。海外のスタッフと英語で話すときはDressではなくGown。色ドレスもカラードレスではなく、EveningGownと呼びます。