20110809

パリのアンティークレースとグレースケリーのウエディングドレス

古いものは17世紀もあります。一度ドレスに使っても、レースは丁寧に外されて、今度は娘のウエディングドレスに使う。そういう習慣がパリにはあった。
最近は使い捨て文化が若者に浸透し、王家か領家の結婚式くらいにしか見かけなくなったのが現状。

最近、パリのレースの歴史とともにあるHURELのレースが入手できるようになって、その貴重なレースを使って、ドレスを作れるようになった。
でも、この写真のような貴重なアンティークレースやHURELのレースを使ってドレスが作れるのに、新婦には、その歴史的な価値や、ウエディングドレス自体をなぜ着るのか、その意義がなかなか伝わらないことが多い。

それより、(実際は)アジアの工場で量産された、タレントプロデュースのドレスの方が圧倒的に日本では人気が高い。否定しているわけじゃないけど、流行のデザインだけでドレスを選ぶのは慎重にしたほうが良いと思う。

流行だけでドレスは選んではいけない、理由は
手元に、7年前に流行したタレントプロデュースのドレス写真があるけど、これ、今、「着たい!」っていう新婦いないと思う。昔のアイドル歌手みたいで、着るのはパー子さんくらいだと思うから。
この写真の新婦を、今の新婦が見たらきっと笑うけど、それより、10年後、自分が娘に笑われないことを心配した方がいいと思う。結婚式の写真がお蔵入りになるのは、ドレスとヘアメイクが、「当時の流行だったから・・」。って理由が多いから。


知って欲しいのは、本物は決してすたれないこと
グレースケリーが美術館のアンティークレースを自分のドレスに使った理由は、本物のレースだけが持つ普遍的な美しさに魅了されたから。だから、この写真のように、何十年前の写真なのに、今見ても、グレースケリーは美しい。

同様に、ケイト・ミドルトンさんのドレスもそう、何十年経っても美しいと思う。歴史の継承がもつ普遍的な美しさがあるから。

だから新婦には、ドレス選びのときに、
「そのドレスは、自分がお母さんになった時に、娘に見せられるドレスか?」って視点で選んで欲しい。

ドレスは本来、自分の身分を現すもの、年齢とともにくちるようなオバさんじゃなく、いつまでも品格を持つお母さんになってもらいたいと思う。その第一歩を試されるのが、ドレス選びだと思う。
デザイナー冨山和彦